最悪な日【8】

前回のお話はこちら↓

最悪な日【7】

最悪な日【8】

内心はビビりまくり

強面の見知らぬおじいさんに
たった1メートルの距離まで
グイグイ近づいてこられて
もうどうしようかと思ってました。

目を合わせたまま少し時間が過ぎ
ようやく口を開いたおじいさん。

だけど口を開いただけで
言葉は出てきません。

口を閉じて少し考えた後で
また口が開き
何かを言おうとしていました。

でも口はパクパク動いただけ。
その様子をじっと見ていた私の目線に
気まずくなったのか
恥ずかしくなったのか
話すのを諦めて戻っていきました。

顔は強面だったけれども
よく見たらとても人が良さそうで
こちらを心配している雰囲気が
じんわり伝わってきました。

きっと、
何を言えば泣き止むのか
何を言ったら世間的に大丈夫なのか
話しかけることによって怖がらせたりしないか

そういうことを気にして
言葉が出てこなかったんだろうなあと
思います。

家に入った後も

そこで去っていったかと思いきや
自分のお店の中に移動し
こっちをずっと見ていました。

でも初めのような
威嚇した視線ではなく、
自分に何もできなくて申し訳なさそうな
不甲斐ないと言いそうな表情をしていて
優しく心配そうに
見守ってくれているのがわかりました。

今のような時代ではなく
おじいさんが子供の頃のような
誰とでも気軽に会話ができる時代だったなら
おじいさんもきっと
「店で茶でも飲んでけ」
と言ってくれそうな
そんな感じがして

この時のおじいさんに
何もされてはいないけれども
何かしてあげたいという姿勢に
救われました。

✳︎

続きます。

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